どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

火曜日, 3月 24, 2015

第1話 夢の自給自足生活へまっしぐら

「ふんふ~ん♪」

「あ。ヒョウが降ってきた。わりと暖かいのになぁ。」

メドウ・グレンの街にやってきたケイは上機嫌だった。

「あのマーケットはいい感じだったなぁ。・・・お金さえあれば。」

あれこれといろいろな新しい建物が建っている。
けれど、十数年ぶりなのだ。変わっていないほうがおかしいだろう。

「明日はもっと街の中心地まで行ってみようかな?」

この街に来てから、ケイは少しずつ外出して、いろいろな場所を見て回っていた。
とはいえ、まだ川向こうまでは足を伸ばしていない。
しばらくの間は、街中を見て回ること時間を費やそうと思っていた。

「うひゃあ!降ってきた降ってきた!」

「ただいまー。」

誰が答えてくれるわけでもないが、この家に帰ってくると、そう言わずにはいられない。


家の中は、家具も取り替えられているし、内装も随分と変えてあって、子供の頃住んでいた家とは様子が違っていた。
それでも、なんだか懐かしい匂いがする。

「んもぉー・・・電話うるさいー。」

「もしもーし?あ。おねえちゃんかぁー。なぁに?」

「うん。ちゃんと食べてるって。お姉ちゃんと違って、適当な食材があればなんか適当に作れるもん。」

「仕事?ここに着いてからまだそんなに経ってないよぉ。そのうち、そのうち。」

「ホームレス生活なんかしないって!ちゃんと家があるんだもん。」

アイは、一人で旅立たせたケイを心配して電話をかけてくる。
姉として、ケイがきちんと生活しているかどうか気になるのだ。

「だーいじょうぶ!ちゃんと一人で生活出来るから!もう切るよー。」

けれどもケイは、アイのそんな心配をよそに、初めての一人暮らしを満喫していた。

「ご飯だって作れるし~♪野菜が新鮮で美味しそう!」

「よっと。」

「ありゃ。作りすぎちゃったかな?」

「冷蔵庫に入れとけばいっか。・・・ん。おいし♪」

外から帰ってきて食べるものを作り、食事を終えて、テレビでも見て時間を少々過ごし、

「ピアノ、ピアノ。」

ピアノを弾くのだが、

「ふふ~ん♪」

あろうことかケイは、納屋に自分の居場所を作っていた。


昔、秘密基地と称しておもちゃを並べて一人過ごしていた場所である。

家の内装はほとんど変わってしまったが、唯一この場所だけは、昔と同じ、建替えられもせず、ほとんど手を入れられていない状態で残されていたのだ。

そして、アイにはそのうち仕事を探す、などとうまいこと言ってごまかしてはいるが、ケイは働きに出る気はさらさらなかった。

「まずは、家庭菜園だよね。」

「それからー・・・。」

「なんか釣れるかな?」

「ここには魚、いないかなぁ。」

「あっ!」

「金魚かぁー・・・。金魚じゃ食べられないなぁ。 釣り場はどっか探さなきゃなぁ。」

そして・・・

「えへへ。」

「かーわいい♪」

「お前達も早く大きくなって、たくさん卵を産んでね。」

家の敷地内で野菜を育て、池で魚を釣り、鶏を育てて、自給自足で乗り切ろうとしていた。
こんな生活をするのが夢だったのだ。
ケイ一人、糊口を凌ぐには、これで十分だろう。


「今日はちょっと遠出してみようかな。」

よく晴れたある日、ケイは川向こうまで足を伸ばしてみようか、と自転車で出かけた。

「あっ。アライグマ~。」

「そうだ。学校、行ってみようかな。どんな感じかな?」

昔、自分が通っていた学校は取り壊され、新しく建て直した、という話は聞いていた。
どんな風に変わったのか、見物に行ってみよう、と思い立ったのだ。

「うぉっ!なんか都会になってる!」

家から学校までは、かなりの距離がある。
子供の頃、ケイは毎日スクールバスで通っていたが、家を出て川を渡り、ぽつぽつと建っている家やお店、広大な空き地など、街を眺めては楽しんでいたのだ。

「この坂を登れば・・・。」

街の中を抜け、小高い丘の上に建つ学校目指して、ケイは懸命にペダルを踏んだ。

「・・・え?これが学校?」

ようやくたどり着いた場所に建っている建物を目にして、ケイは驚いた。

「ブリッジ・ポートにも、こんなのなかったよ・・・。」

ガラス張りのいかにもモダンな建物で、一見学校とは到底思えない。

「昔はちっちゃい学校だったんだけどなぁ・・・。」

これでは母校だ、などと感傷に浸る隙もない。
本当は、中まで入って見学してみようと思っていたのだが、キラキラと光を受けて輝く学校を前にして、すっかり臆してしまった。

「すっかり都会になっちゃったな。・・・こんなお店もなかったし。」

学校の周囲には、いくつか店が立ち並んでいる。
以前は何もなかった場所なのに、人口が増えて、需要が出来たということか。

「なんの店だろう。本屋さん?」

その中の一つの店に立ち寄って中に入ってみると、本棚にいろいろな本が並んでいた。

「いらっしゃーい。」
「こんにちは。ここ、本屋さんなの?」
「本は全部古本だよ。」

「置いてるのは本だけじゃないよ。奥には服とか、いろいろあるから見てってよ!」
「へぇー。」

「どれどれ。」

扉一枚隔てた奥には、服や小物、アクセサリー類もあるし、装飾品なども並んでいる。

「わぁ。ほんと、いろんなもんがあるー。」

「服も欲しいけど、お金ないしなぁ・・・。」

あれこれと見て回ったが、壁に飾られているものを見て、ケイは足を止めた。

「・・・え?なにこれ?光ってるから・・・ライト・・・?」

「か・・・可愛い・・・欲しい・・・。」

ネコの形をした壁用ライトだ。
こういうのがあれば部屋が明るくなるし、可愛くて見て楽しむことも出来る。
眺めているうちに、欲しくて堪らなくなってきた。

「ねぇ、お兄さん。あっちの部屋にあるネコのライトなんだけど。売り物なの?」
「ああ。あれね。なかなか面白いでしょ?」

店員に聞いてみると、あれも売り物だということだ。

「いくらぐらいするのかなぁ。」

「一つ$40。三つで$100でいいよ。」
「$100かぁ・・・。」
「あれっ?買わないの?掘り出し物だよ?」

「$100・・・そうかぁ・・・そのくらいはするよね・・・。」

今のケイに出せる金額ではなかった。
自給自足生活はいいけれど、欲しいモノが出来た時に、手元に現金がない。
以前貯めていたへそくりなど、引越し代で吹っ飛んでしまっていた。

「でも・・・欲しいなぁ・・・。どうしかしてお金、作らなきゃ・・・。」

それだけではない。

「あっ!」

「・・・テレビ、壊れた・・・。」

「トイレも壊れた・・・。」

「食洗機まで・・・。」

テレビ、トイレ、お風呂、シャワー、食洗器・・・とあらゆるものが壊れていく。

おまけに・・・

「なにこれ?」

「水道代、電気代、新聞代ー?」

郵便受けから郵便物が溢れていたので覗いてみると、請求書のヤマだった。
生活をしていれば、光熱費がかかるのだ、ということを、ケイはすっかり忘れていた。
今まではアイの口座から直接引き落とされていたものだから、尚更である。

「どうやって払おう・・・。」

一人暮らしを満喫しよう、と意気込んでメドウ・グレンにやってきたケイだったが、いきなりとてつもなく高い壁にぶち当たった気分だった。
夢の自給自足生活は甘くない、と思い知らされたのだ。




~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~



本編です。
ケイちゃん一人暮らしは動かすのが楽ですw