どうして道路を渡るの?

ようこそ、いらっしゃいませ!

こちらでは、EAのTHE SIMS 3での擬似日常をだらだらと綴っています。

*改めてごあいさつ*

長きにわたり、放置していてすみませんでした。

いつかは戻ってくる、と決めていたので、
移転や閉鎖もせず、けどいつの間にか2年半も経っていました。

やっと戻ってこれましたので、イチから出直します。

「君がいた世界」は、未完のまま終了です。
また、別館は閲覧できない状態にしています。

本当に、長い間留守にして、申し訳ありませんでした。

お気に入りリンクの整理、やっとしました。
リンク切れサイト様もいくつかあって、
2年半と言うのは長かったな・・・と改めて実感しています。

~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~ * ~

主役ふたり、やっと揃いました。

Calico Capriccioso
第2話 新しい出会いとか再会とか

最終更新日 2015.04.03

日曜日, 1月 23, 2011

クレメンタインの子孫

「ふぅ~ん。コイツがチャールズ・クレメンタインか・・・。」

圭介は、チャールズを古い写真でしか見たことがない。
橘花もそれは同じだろう。
「どうしてこうも写実的に作れるものか・・・。」

圭介は、本当に橘花にこんな才能があるとは知らなかった。
「エリックのあの話し・・・本当のことなんだな・・・。癪にさわるけど。」

この一体の氷の像が、橘花の運命を決定付けたのだ。
自分の血を分けた娘なのに、橘花がなんだか違う人間のように思える・・・。
そんなことを考えて、圭介は嫌な気分だった。

「あ!橘花のお父さん!しばらくここに住むんですって?」
「君は?」

「ダニエルって言います。お父さん、作家なんでしょ?」
「たいして売れてないけどね。」
「けど、すごいや。物を書いて生活してるなんて。」
「それしか取柄がないからね。」

なぜか圭介に取り入ろうとするダニエル。
「君は何をやってんの?」
「俺、医者なんですよ。エリックとは同僚で・・・。」
「へぇ。そりゃご愁傷様。」

そのエリックは、ひとしきり話をし終えて、暇乞いしようとしていた。
「橘花ちゃん。君は間違いなく、クリスの才能を受け継いでいるよ。」
「え?そう?そうなのかな・・・。」

「でも、ワタシがもしもそうだとして、チャールズの像を作って・・・その後は?なにかあるの?」

「そうだな。君は立派にチャールズの像を作って・・・遺言の一つは果たした。」
「え・・・一つって・・・。」
「チャールズの・・・いや、アーネストの遺言は、これで終わりじゃないんだ。」

「どういうこと?」
「チャールズは、莫大な遺産を、子孫に残しているはずなんだ。」

「遺産って・・・家だけじゃないの?」
「まさか!アーネストの日記にはこう書かれている。『チャールズの墓の前に、クレメンタインの血を引くものが姿を現した時、その人物をクレメンタイン家の名を継ぐ者とし、すべての権利を与えることとする。』・・・ってね。これが果たせなければ終わったことにはならないんだ。」
「え?じゃあ、チャールズのお墓に行けばいいんじゃないの?」

「そうなんだけどね。・・・ないんだよ。」
「ない?」
「探しているんだよ。我々もずっと。」
「チャールズのお墓がないの?」
「そう!」

「エリック!お前はまた、橘花に無理難題を押し付けるんじゃないよ!」
「いや・・・橘花ちゃんがチャールズの像を完成させれば、それがヒントになるんじゃないかって考えたんだけどねぇ。」

「それを探すのはエヴァンス家の仕事じゃないのか?はよ帰れ。お前は昔っから長っ尻だからなぁ。」
「う~ん・・・。まぁ、同じ街にいるんだから、また来ますよ。」

「橘花ちゃん。なんでもいい。ヒントが見つかったら連絡してくれ!」
「うーん・・・ヒントって言われても・・・。」

「いいから帰れって。」
「う・・・圭介さんがいると、やりにくいな・・・。」

「それにしても圭介さん・・・。」
「ん?」
「橘花ちゃん、ホントにいい女になっちゃって・・・。やっぱり私の嫁に・・・。」
「ぶっ殺されたくなかったらさっさと帰れ。」

「う・・・そうします・・・。」

こうしてエリックは、アーネストの遺言を橘花に伝え、クレメンタイン・ハウスを後にした。

「ねえ、パパは・・・知ってたの?アーネストの遺言。」
「まぁね。日記を借りて読んだからね。」
「そう・・・。」
「橘花・・・?」

『・・・どうしてワタシなんだろう・・・。他の人でもいいのに・・・。』

橘花はチャールズやクリスの運命を知り、エリックがその系譜を辿ってカスケード・ショアーズに来たことを聞き、そして今、自分がクレメンタイン家の血を引くものだと知らされて、戸惑っていた。
どうしたらいいのだろう、というのが正直な気持ちだった。


「ね、パパ。ツイン・ブルックに来たの初めて?」
「ん?通ることはあっても、ちゃんと来たことはないなぁ。」

週末が終わり、クレメンタイン・ハウスは少しずつ日常を取り戻していた。
「じゃあさ、街の中、案内してあげるよ。」
「お!そりゃいいな!外でメシでも食うか!」

「ついでに服買って!」
「相変わらずだなぁ、お前・・・。」

チャールズの遺言、アーネストの遺言、そんなものが、橘花にはとてつもなく重く感じられた。
この家の中にいることさえなんだか息苦しい。
だから、久しぶりに会った圭介と、外に出たかったのだ。

「おーっ。なんだ?この店。」

「ここ、委託販売所だよ。作ったものを持ち込んで、売ってもらうの。」
「へーっ。なんかいろいろあるなぁ。」

「いろいろ面白いモノがあるんだよ。たまに掘り出し物もあるし。」
「ふぅん。」

「服もあるんだなぁ。」
「あっ。そうだ。ここよりもっと面白いところがあるんだった!そっち行こ?」
「ん?服はいいのか?」

「スタイリングしてくれるところがあるの!服はそっちで選ぶ。」
「・・・しかし、いい車だな・・・これ。」
「左京の車よ。ぶつけないでね。」
「うーん・・・今ひとつ自信ないなぁ。」

左京に借りた車で、目指す店へ。

「ここだよ。ね、パパもやってもらったら?」
「僕はいいよ。」

「パパの分はワタシが払うから!気分転換になるよ?」
「そうかぁ。じゃ、ちょっとやってもらおうかな。」

「さて。じゃ、いっちょ頼むわ。」
「任せてくださいな~。」

「あれ?おじさんじゃないの?スタイリストさん、変わったの?」
「ああ。私、最近入ったのよ。どんな感じがいいかしら?」
「普通でいいよ。普通で。」

オカマのおじさんはいなくなっていて、代わりにこの人が新しくお店に雇われたらしい。
「こんな感じでどう?」
「ふむ。なかなかいいかも。」

「あなた、男前ね!似合うわ~。」
「そうか?」

この店でスタイリングして貰って、こんなにまともなのは初めてかも。
「橘花、お前は?」
「ワタシは自分で選ぶよ。」

「んふ。これがいいや。」

「それでいいのか?なんか今ひとつ地味というか、華やかさがないというか・・・。」
「そう?」
「そんなんじゃ、モテないぞ?」
「別にモテる必要ないもん。」

「ね、それより、あとどこ行く?」
「おいおい。そんなにいっぺんに見て回らなくっても、僕はしばらくいるからさ。そんなに焦るなよ。」
「そう?じゃ、ご飯食べに行く?」
「そうしよう。」

圭介と二人で少しの間家を離れて、ちょっとは気持ちが落ち着いた橘花だったが、これから自分はどうしたらいいのか・・・そのことがどうしても頭から離れなかった。





エリックが帰ろうとしてる時、ずーっとロッタちゃんが側を離れなくってですね~・・・。
エリックと仲良くなりたかったのか、パパと仲良くなりたかったのか。
でも、エリックに口説かれて、思いっきり拒絶してましたけどね(^-^;)

木曜日, 1月 20, 2011

旅立ちの日

「あれ?パパ、出掛けるの?」
「出版社に呼び出された。」

「終わったら電話するからさ、たまには外でメシでも食おうか。」

「ホント?やった!」
「たまには僕の不味い料理から解放されたいだろ?」

「パパの料理は別に不味くないよ。」
「そうか・・・?」
「ね、ついでに服でも買って?」
「なんでだよ。」


「はぁ・・・しょうがないな・・・。服も買ってやるか・・・。」

食事をしながら、橘花と話し、ツイン・ブルックに行くことを許可しようと思っていたのだ。
「しかし・・・なんだか嫁に出すような気分だぞ・・・?ま、エリックにはやらないけどな。」

一人娘が独り立ちするのを頼もしく思いながらも、圭介は一抹の寂しさを感じていた。
おまけに、エリックの筋書き通り、事が運んでいるのもなんだか腹立たしいのだ。

「出版社から呼び出しなら・・・また旅行に行くのかなぁ・・・。」

「だったらその前に、やっぱり許してもらわなくっちゃ。」

橘花も圭介と気持ちは同じ。
いざとなれば家出する覚悟ではいたものの、やはり許しを貰って、ツイン・ブルックに行きたい、と考えていた。
たった一人の肉親である父親の側を離れるのは不安だったが、それよりも、ツイン・ブルックに行けば、何かが待っている・・・そんな気がしてならなかった。

「パパ!お待たせー。」

電話を貰って、待ち合わせたレストランで落ち合った二人。
最初は二人とも黙って食事を口に運んでいたが、やがて圭介が切り出した。
「橘花。ちょっとしばらく外国に行くことになったんだ。」
「やっぱり?長いの?」
「そうだなぁ。今回はちょっと長くなりそうなんだ。」

今までも長い間家を空けることはあったが、橘花はまだ学生だったし、案外一人の時間も楽しんでいるようで、心配したことなどなかった。
けれど、今回ばかりは違う。
「ねぇ、パパ・・・。」
「やっぱりプロが作るワッフルはうまいや。」

「パパってば・・・。」
「・・・気をつけろよ。」

「留守中のこと?分かってるって・・・。」
「そうじゃなくて・・・行くんだろ?ツイン・ブルック。」

しかし、ここできちんと許可しておかなければ、橘花は本当に遠くに行ってしまう・・・。
そんな気がして圭介が出した答えだった。
「許して・・・くれるの?」
「留守中に家出されたらたまらんからな。」
「バレてた?」

「お前の考えてることなんかお見通しさ。」
「えへ。・・・パパ、ありがとう。」

圭介が外国に旅立つ同じ日に、橘花もツイン・ブルックへ行くことに決めた。
それまでの短い数日間、二人で街のあちこちに出掛け、何を話すでもなく一緒に時間を過ごした。
その間に圭介は、約束通りエリックに連絡しておいた。
エリックは迎えに行く、と言って聞かなかったが、橘花がツイン・ブルックの街に着くまでは姿を見せるな、と言い渡しておいた。
万に一つの確率で、橘花の気が変わる、ということもありえたからだ。

しかし、その日はついにやってきた。

「いい天気!幸先いいな~。」
「ん~っ。暑いと厄介だぞ?」

「お前、そんな色気のない格好でいいのか?左京に会いに行くんだろ?」
「ライブの時はめかしこんで行くもん。」
「そうか?」

「・・・ね、パパ。どうして最初、あんなに反対したの?」
「なんとなくだよ。」

「うそ!なんとなく、あんなに反対するわけないじゃん!」
「んー・・・そのうち分かるさっ。」

「そのうち?・・・ってどのくらい?」
「お前次第!・・・っていうか、ホントに気をつけろよ?知らない街なんだし。住むトコどうすんの。」
「向こう行って探す!」

「・・・ま、お前は僕の娘だから、間違ったことはしないって信じてるけどね。」
「なぁに?それっ。」

「橘花・・・元気で。自分の思った通りに生きるんだよ。」
「ふふっ。永遠の別れじゃないのよ?」

「永遠の別れだったら・・・パパ、泣いちゃうよ?」
「パパっ!苦しいってば!」

「ね、旅行から戻ったら、ツイン・ブルックに遊びに来てよ。」
「気が向いたらね。」
「もうっ。そんな言い方っ。」
「とにかく・・・お前は自分の意思に反することはしちゃダメだ。それだけは守ってくれよ?」

「分かった。約束する!」
「いい子だ。」

こうして橘花はツイン・ブルックへと旅立った。





「・・・と、いうわけ。」
「なるほど。反対された理由が、今、よーく分かったわ・・・。」

そして現在。
エリックがお膳立てしたとはいえ、橘花は彫刻家としての才能を開花させていた。
そして、チャールズの像を見事に作り上げたのだ。





やっと繋がりました!
とりあえずホッと一息(^-^;)ゝ
パパの性格と顔、本当に好きだぁー!
書いてて途中で切なくなってきちゃった。なぜか。